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文房具メーカーにアイデア提案したらどうなるの?

みなさん、日常生活で発生する色々な困りごとから「こんな商品あったらいいのにな!」と思ったことが一度はあったりするのではないでしょうか?

そして、それは特に生活用品など身近で馴染みがあるものが多く、その中で文房具もあったりしませんか?ところで、思いついたアイデアをどこかのメーカーに提案してみたいなと思った人もいるのではないかと思います。

実際それってどうなの?アイデアを提案したら企業の中ではどのように扱われているの?そんな疑問に実態を添えてお答えしたいと思います。企業の裏側も少しのぞけちゃったりますよー(笑)。

 

 

そもそも文房具メーカーにアイデアの提案ってくるの?

文具ブラザーズが、文房具メーカーに勤めている実際の肌感でお答えしようと思います。

実態としては、結構提案がくるというのが実感です。提案は問い合わせメールまたは郵送にて届きます。しかし、ここで注意点です。企業によってはホームページなどでアイデア提案そのものをお断りしているケースもあります。それは、その提案を受ける前から企業が研究開発をしていたりして、もめてしまうことを防ぐためです。そのため、「提案した時点で全ての権利は放棄されたものとみなします。」というようなことが書かれていたりします。

実際にうちの会社でもこの数年はそのような対応をしています。しかし、それでも(権利を放棄してでも?)提案がきているのが実態です。また、個人の方からの提案もあれば、企業からの提案もあります。

企業からの提案では、このような技術をもっているがコラボレーションをして商品開発できないか?というような内容が多いです。

 

 

 

アイデア提案が届いたら企業ではどのように扱われているの?

僕は、実際に届いたアイデア提案に対して何件か対応したことがあります。

まず問い合わせの窓口にメールまたは郵送にてアイデア提案が届きます。その内容は、その窓口で一度開封されます。開封された後、内容を確認しきちんとした提案であることを確認します。そして、どのような商品カテゴリーの提案かを確認し、その商品カテゴリーの商品開発担当者へ連絡がいきます。このような提案があったがどうしますか?と連絡が入り、担当者はその時点で興味があるかないかで判断します。

その時点で興味がなければ、あらかじめ用意されているいくつかのパターンの返信内容から選んで、窓口担当の方から提案者に返答をしてもらうようにします。興味があった場合は、その内容を具体的に確認することになります。確認し、さらに興味があれば直接その提案者に連絡を取って、具体的な内容を聞いたり、面談に移ることもあります。また、企業からの提案であればそこから共同開発に移るというケースもあります。しかし、ここまで話が進むという案件は感覚的にはごくまれです。

このような流れで提案されてきたアイデアは扱われます。商品開発の担当者へは届いているが、そこである程度判断されちゃっているということですね。

 

アイデア提案が採用されたものってあるの?

有名な話としてカモ井加工紙株式会社のマスキングテープ「mtがあります。

これは、3 人の女性たちがきっかけとなって生み出された商品なのです。彼女たちは、和紙ならではの色合いや透け感を好んでいて、カモ井加工紙の工業用マスキングテープを自分たちの創作活動や身 近な場面で活用していました。そうした経緯から彼女たちは、「マスキングテープの製造工程が見たい」とマスキングテープを扱う複数の企業に工場見学を申し入れました。

しかし結果として、それを受け入れたのはカモ井加工紙たった一社だったのです。そして、彼女たちの提案によって生まれたのがあの「mt」であり、今では市場を形成している商品なのです。僕が知る範囲で、これ以外にも実はあまり公表していませんが、個人からの提案や企業からの提案で生まれた商品もいくつかあります。これは、今では一種のオープンイノベーションという形ですよね!

 

アイデアを思い付いたらメーカーに提案したほうがいいの?

ユーザーからの提案で商品化されたものはいくつか存在しますが、正直その率は低いと思います。

企業内でのアイデアの取り扱いも権利の問題で難しいと思いますので、アイデア提案する場合はきちんとしたデザインコンペにて提案することをオススメします。デザインコンペの場合は、受賞(商品化)された場合はきちんと報酬もありますし、個人の成果としも公のものとなります。例えば、コクヨ株式会社が実施する「コクヨデザインアワード」、サンスター文具株式会社が実施する「文房具アイデアコンテスト」、シヤチハタ株式会社が実施する「シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」などが有名です。

素晴らしいアイデアがあれば、こちらに提案してみましょう!

 

 

 

まとめ

メーカーに届いたアイデアがどのように扱われているのかの裏側、アイデア提案によって生まれた商品はいくつか存在すること、素晴らしいアイデアがあるのであればデザインコンペを活用すること、などを紹介してきました。

アイデアは思い付いただけでは、何の価値もありません。行動をして実現されてこそ、アイデアは価値になります。もし、素晴らしいアイデアや素晴らしい技術を持っているが、文具ブラザーズどうにかして!ということがありましたら、コラボレーションでもしましょうか?(笑)

 

 

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