メーカー・業界情報

文房具メーカー10社をオリジナル視点で分析<就活お役立ち情報>

就職活動をしている学生のみなさん、文房具メーカーが候補に入っているという方いらっしゃいますか?そんな人に向けて、文具ブラザーズならではの視点で文房具メーカーを分析してみたので発信したいと思います。

そもそも、文房具業界自体はどうなのか?また、企業情報(売上、利益推移、従業員数、企業理念など)は?というような内容については調べたら分かることですので、表面的な分析は置いておきます。

僕たち文具ブラザーズは文房具業界にいて、実際に様々なメーカーの人たちと接しますし、コラボレーションをした経験もあります。後で紹介する企業のほとんどは、そこの社員とも話したり、工場もいったり、実際一緒に仕事もしたりというところです。そんな視点からこのメーカーはこーだな、あーだな、と僕たちが感じているつぶやきだと思って読んでもらえればと思います。事実かどうかは分かりませんのでご了承ください。ただ、表面的な分析より実際にこの業界の中にいる僕たちの肌感なので近いかもしれませんよ(笑)。

文房具メーカーってどんな会社があるの?

ひとことに文房具メーカーと言っても多くの企業があります。下図は、文房具メーカーの認知率をアンケートでとったものになります(MyVoiceより抜粋)。上位はコクヨにはじまり、筆記具メーカーがずらりと並んでいます。ここにランキングされているメーカーは知っている人も多いのではないでしょうか。

文具ブラザースによる文房具メーカー分析(つぶやき)

ここからは、文具ブラザーズが勝手に面白い、好きだなと感じているメーカーを10社選んで、独断と偏見でつぶやいていきたいと思います。

キングジム

キングファイルを代表するファイルメーカーでしたが、今では電子文具メーカーというイメージが強いのではないでしょうか。ラベルライターの「テプラ」の存在が大きいですよね。その後、テキスト入力に特化したデジタルメモ「ポメラ」の販売、そこからは各種電子文具の展開を行っています。

このメーカーのいいところは、「開発会議」にあります。商品化を決定する会議は各社シビアでピリピリとしています。しかし、キングジムでは「10人いる役員の内、1人でもいいと言えば商品化が決定する」、「市場調査はせずに、10人に1人が買いたいものを狙う」、「売れなくても責任は取らない、失敗を責めない」という社風があり、開発者にとってはすごくありがたい土壌があります。そこは純粋にうらやましい!半面、本当に売れないものも出てしまうため、社員と話をすると危機感をもっているのも事実です。ファイルの減少、そのカバーをしないといけません。

電子文具のみならず最近ではペンケースやマスキングテープなどアナログ文具製品も多く出してチャレンジしています。10個に1個のヒットで支え続けられるか、ヒット商品を求めて耐えながら攻めている企業という印象です。

トンボ鉛筆

しっかりとしたモノづくりをするメーカーです。

OEM生産にて任せるより、自分たちの手で自分たちの工場でモノを丁寧に生み出していく開発力をもっています。MONOブランドの修正用品、PITブランドの粘着用品はそれを体現したプロダクトで品質および性能が非常に高い商品です。筆記具は少し苦戦している模様。

また、しっかりしたモノづくりをする反面、開発スピードは時間がかかっている印象です。競合品をマネしたり、コスト競争に飲まれるような商品の展開はあまりせずに、付加価値で顧客に認められるモノづくりを徹底しているメーカーだと思います。

三菱鉛筆

三菱鉛筆は、1887年に眞埼鉛筆製造所として東京都の四谷に創業しました。1903年に「三菱」というブランドの鉛筆を立ち上げ、この時に取得した商標が後に1952年に三菱鉛筆の名称になっていきます。三菱鉛筆という名の通り、1946年に発売された9800番や1950年に発売された9000番の鉛筆はロングセラー商品となり、三菱鉛筆の代表作になっています。その後、シャープペンシルやボールペン、高級鉛筆としてのブランド「ユニ」が発売されてきました。

現在では、ボールペンやシャープペンシル、サインペン、鉛筆・色鉛筆、印章、机上用品、学用品、エコ商品と展開をし、中でもシャープペンシルのクルトガは有名な商品です。

商材を黒鉛から筆記具へと広げ学生を中心に愛され続けているメーカーです。

ぺんてる

サインペン、Ain、オレンズと筆記具で強いブランドを持ち、素晴らしいプロダクトを多く生み出しています。インクの処方や筆記具の設計などの開発技術力が高く、また知られていないかもしれませんが生産設備のほとんどが機械メーカーに外注するのではなく、自分たちで開発するという生産技術も持ち合わせています。生産性はもちろん、品質を維持するためにはどうしたら良いか徹底的に考えてモノづくりをしています。

2019年に発生した買収問題。コクヨ、プラスとの間で揺れながら経営としては古い体質が根付いていて、チャレンジャブルなメーカーではない印象です。コクヨの2020年3月株主総会で、今後協業して相乗効果を発揮したいという発言がありましが、恐らくそれは難しいと思います。今回の件で、ほぼ普通に話し合える関係ではなくなってしまっているはずです。

コクヨ

言わずと知れた大御所メーカー。

文房具と言えばコクヨというくらいメジャーです。総合文具メーカーなので幅広く製品を扱っています。キャンパスノート、ドットライナー、ハリナックスなど機能的な商品も多く展開されています。その中で、筆記具が弱みです。少し展開はしていますが、自社には恐らくスキル・ノウハウは乏しいでしょう。それを打破するためにぺんてる買収に挑んだわけですが失敗してしまいました。しかし、企業としては非常にお金をもっています。また何か仕掛けるかもしれませんね。

最近では、少し機能的な画期的商品の展開が少ないなという印象です。GLOOシリーズは良かったですが、それ以降は止まっていますね。女子文具やKOKUYO MEシリーズなど、大手がやらなくてもいいのでは?という展開も多く、大企業でも苦しんでいるんだなという感じです。資金力もあるし優秀な社員が多いので、大手にしかできないモノづくりでイノベーションを期待したいところです。

パイロットコーポレーション

文房具では、ビジネスバックからホワイトボード、事務用文具、マグシート、修正用品、磁気ボード、コルクボード、ボードアクセサリー、手帳・ノートと幅広く商品を取り扱っているメーカーです。中でも、事務用文具に含まれる筆記具の分野で有名なドクターグリップ、フリクション、瞬筆、ジュースといった商品はこのパイロットコーポレーションから発売されています。パイロットコーポレーションの強みは何と言っても、インクの変色技術です。フリクションボールも熱を加えることでインクの色が消えるという技術を活用しています。

この変色技術は、玩具事業で多く活用されている技術の応用です。他の事業分野では、「メルちゃん」やお風呂に貼る学習シートを製造していますが、このメルちゃんの髪の毛をお湯につけると変色したり、お風呂シートにお湯をかけることで隠れた文字が浮かび上がったりします。この変色技術を筆記具に転用したものがフリクションボールです。

パイロットは、国内の倍以上の売り上げを海外で上げていますが、国内の利益の方が3倍ほどとなっていますので、利益を生み出しているのは日本での販売金額となっています。国内に軸足を置きながらも積極的に海外に展開していくことでコストメリットを生み出そうという動きが見えます。海外では、アメリカを中心に、ヨーロッパ、中国やその他アジアを中心に展開しています。この先の展開が楽しみな企業です。

ゼブラ

創業120年を超える企業です。

ゼブラと言えばシマウマ。なぜシマウマなのか?気になった方は多いかと思いますが、ゼブラは日本初の国産鋼ペン先を製造していました。このペン先に刻まれたマークがゼブラ(シマウマ)模様だったことにあります。ペン先の製造から始まり、ボールペンインクの開発、知らない人はいない油性マーカー「マッキー」や今では当たり前になっているシャープペンシルとボールペンが1つになった「シャーボ」を発売したのもゼブラです。

ロングセラーになっている「サラサ」や「マイルドライナー」、最近では「デルガード」や「ブレン」といった商品を製造をしている会社でもあります。

ナカバヤシ

アルバムで有名な会社でしたが、アルバムマーケット縮小により多角化をはかっている会社です。

少し前までは大手の真似をして二番煎じでもいいので、キャッチアップすることで売上をあげていきている印象でした。コクヨのキャンパスノートがドット罫線で「東大ノート」と言われれば、ナカバヤシはロジカルノートを「京大ノート」として訴求しました。限定柄についてもどんどん、キャッチアップしていきます。これはこれで潔く確実に売り場を確保し売上を獲得する戦略のひとつだとも思います。

しかし、それ以降は「ロジカル エアー」で軽さを訴求したものであったり独自性も出てきています。最近では、収納グッズに注目しています。「オリパクト」や「ライフスタイルツール」など、良い商品が出てきていますので収納グッズメーカーとしての地位を確立するかもしれません。

プラス

総合文具メーカーとしては、コクヨに次いでプラスというポジションです。

プラスは戦略がハッキリしているという印象です。決めたカテゴリーの商品は徹底的に投資(M&A含む)をして、圧倒的なコスト力でまずは販売の量を取る戦略をよくとっています。スタート時には恐らくしっかり利益は確保できていなくても、規模の経済で販売量を取った後は十分に利益が確保できるという戦い方が多いように感じます。少し乱暴なやり方なので同業や流通からは良くないウワサもありますが、これはこれでコストリーダーシップ戦略としての戦い方なので分かりやすくて良いと思います。

商品開発力的にも、ある意味ハッキリしており強みとなり得る部分ではしっかりと商品開発を行い付加価値の高めた商品を展開し(フィットカットカーブなど)、弱みだと思う部分は提携して補完する(プリットなど)、これも分かりやすい開発戦略だと思います。

サンスター文具

圧倒的にキャラクター文具が強いメーカーです。

ディズニーにはじまり、サンリオ、スヌーピーなどキャラクター文具と言えばほとんどがサンスター文具なのです。個別で対応すると面倒な版権などの業務を、これだけ商品を展開して一括で行えばリソース効率も良いのだと思います。大手メーカーもサンスター文具を通して付加価値ある商品をキャラクター展開しているケースも多く見受けられます。ここまで振り切って、割り切れば良いビジネスモデルかもしれませんね。よって、商品開発としては独自の開発は少なく、キャラクターに大きく依存していると思います。

しかし最近ではアイデア商品もいくつかあり、「スティッキールはさみ」やペンケースの「デルデ」などは付加価値も高く、面白い商品を開発したなと思うものもあります。両輪のビジネスがうまく回れば、非常に強みがあるメーカーなのかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?

同じ文房具業界でも、社風や戦略が違うのが分かって頂けたと思います。どの会社が良い悪いではありませんが、ただ個人の価値観と合う企業理念や社風の会社を選ぶことはとても大切ですので参考にしてもらえたらと思います。

また、実際に文房具メーカーの採用試験を受けることになった場合は、下記で面接の必勝法を紹介してますので、こちらも参考にしてください。

 

どこかの会社に文具ブラザーズが潜んでいるかもしれませんよ(笑)。

 

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