文具戦闘力では、文具ブラザーズによるプロ目線での商品分析をしています。
ここでは、ターゲットから「使ってみた感想」から、つくり手の狙いとしての「ターゲット・企画背景」、そして細かな「商品分析」だけでなく、客観的な「ユーザーの口コミ(レビュー)」までを分析しています。更には、その商品が適正価格であるかがわかる「コスト分析&比較」をおこなった上で、最終的に商品ごとの戦闘力を総合的に数値化しています。
「戦闘力・コメント」では、以下の項目で総合的に評価をしています。
・使いやすさ
・価値の高さ
・デザイン
・SDGs度
・コスパ
また、「文具ブラザーズならこうする」では、文具ブラザーズ独自の視点で商品の改良などを述べていきます。
本格的な刃のある「はじめてのはさみ」 使ってみた!
ハンドルは柔らかく、滑らかな触感で軽さを感じ、柔らかい手の子どもへの配慮が感じられます。
ハンドルの上部・先端には、切る位置を示す△印が付いているため、この部分に紙の切りたい箇所を合わせて切ることを子どもが学べるようになっている。
そして何よりも高評価できるのが、刃の安全性。刃は二研(2段階の研磨)されているため、先端は鋭角でない。この加工がされているのは、日本で売られている子供向けハサミで唯一。
はじめてのはさみ ターゲット・企画背景
ターゲットは幼稚園児~小学校低学年。
子どもが物を「切る」ことに興味を持ち、何でもはさみで切りたい時期。この時期の親の気持ちとして、「ある程度の怪我はしながらも道具の使い方を学んでもらいたい」という気持ちと、「目の届かない所で怪我をしたら怖いので、手が空いた時に隣で使わせたい」気持ちとが共存している頃。そんな親子に向けた日本製のはさみ。
左右のハンドルは2色の組合せで3品番用意され、性別を選ばない色が用意され、キャップには人気キャラクター「しまじろう」のキャラクターシールが貼られているだけでなく、手の成長に合わせて持ち方が変えられるハンドル形状、刃の安全性に配慮された二研加工されている。
はじめてのはさみ 商品分析
ハンドルは、イエロー&グリーン、ピンク、ブルーの3色展開でハンドルには軽量なゴム感が感じられるエラストマーのPP樹脂が採用されている。
通常のPP樹脂は比較的ツルツルしていて滑るがそれと異なり、しっとりして手触り感と滑りにくさに配慮されている。そして、安全性に配慮された刃の加工。刃は1度刃付け研磨した後、2度目の刃研磨がされている。
その理由は、刃が鈍角になることで、誤って指を挟んだ際にも切れないようになっているだけでなく、刃欠けや刃先端のバリ処理されている。子供向けに二研されたはさみは他にない。刃先の刃のズレもなく背側もエッヂが無いよう、研磨されている。
はじめてのはさみ ユーザーの口コミ(レビュー)
9割の方が良い評価をしています。
高評価の理由として、「ハンドルにある△のマークを上にして持つことで持ち方が分かる」「はさみ自体が良く切れる」という声が多くあげられています。
残り1割未満の人の評価の中には、「はさみの開閉が重いものがある」、「ビニールなどが切りにくい」という声もある。この点は、1丁1丁手加工で刃同士をすり合わせている強さを調整している商品という点と安全を重視して刃を二研していることによる、薄物が切りにくくなっている点にある。開閉が重ければ(=すり合わせが強い)薄物も切りやすくなるため、安全と使用感のバランスが課題と感じられる。
はじめてのはさみ コスト分析&比較
販売価格1,100円と通常の子供向けはさみ(400円)と比べると高い印象がある。この差は、安心・安全に対する価格差である。
通常、中国・ベトナムで生産されているが、この商品は日本の刃物を扱う岐阜県で一丁一丁手加工で製造されている。大量生産のために、機械加工で自動化された刃は同様の刃物が生産できるが、この商品のように目に見えないバリ取り(二研刃)などはされていない。
機械加工では10枚ほどの刃を15秒程で一研加工できるが、手加工の場合は一研あたり10枚/分が限界である。
これほどの処理されていることで安心を提供していると考えると、決して価格は高くない。
はじめてのはさみ 戦闘力評価&コメント
戦闘力:636
評価項目 | 戦闘力 | 説明 |
使いやすさ | 145 | 安全性は高い。製造のバラつき(開閉が重い)が課題 |
価値の高さ | 135 | 二研された刃で指を挟んでも安易に切れない安心感。ハンドルに採用された手触り感の高い良質なPP樹脂は配慮を感じる |
デザイン | 144 | ハンドルが2色で、イエローのみ左利きにも対応。しまじろうシール付き |
SDGs度 | 50 | ハンドルに再生樹脂が使用されている |
コスパ | 162 | 安全性に配慮された加工の日本品質。コスパは高い |
はじめてのはさみ 文具ブラザーズならこうする
品質、性能は高いものの、①手加工による開閉荷重のバラつきと⓶プロモーションとしての本物感が伝わっていないのが残念。
①に対し、刃付けの手加工はそのままに、開閉荷重を調整している製造工程(曲げ加工)のみ自動化する。
⓶に対し、パッケージ表面に「日本製であること」、「刃加工のこだわり配慮」を明記する。販路は現在のトイザらスのみならず、量販店もチャレンジする。
最後に、総まとめをシートにして掲載しておきます。
価格:1,496円 |
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